『望みしは何ぞ』

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ウッカリ代表戦を観るのを忘れ、書くこともないので本の紹介です。
(再放送観ようとしたが、『歴史ヒストリア』の録画が始まってしまいBSも観れなかった…)

永井路子氏の『望みしは何ぞ』は平安時代の後期の話で、主人公は藤原能信という道長の子供です。

道長の嫡妻は倫子といって源雅信の女で、彼女が産んだのが関白を継ぐ頼通や、いづれ中宮になった彰子、
妍子、威子などです。

能信(よしのぶ)の母は明子といって倫子と同じ源氏ですが、父は「安和の変」で失脚した源高明(テレビに出てた教科書関係者が全員「たかあき」と読んでいて、その教養のなさにビックリした。「たかあきら」です)で、東三条院詮子(一条帝母)に引き取られていました。

道長と明子の結婚は劇的でいかにも大切に扱われたように思いますが、あくまで嫡妻は倫子で明子腹の子は后にはなれず、男子も倫子腹の子に比べ大幅に出世が遅れていました。
そして、道長の時代「望月の欠けたることも…」と言われた時代は終りを告げ、摂関家は頼通の代にはいきなりピンチとなっていました。

元々、その摂関政治天皇に入内させた自分の女が皇子を産むという偶然の結果に成り立っていたので、
道長の栄光は倫子の女たちの上に成り立っていたのです。
しかし、頼長は女どころか実子に恵まれませんでした(のちに産まれる)。

これはその間隙を縫った能信の逆襲といいますか、院政に繋がる白河天皇誕生までの物語です。
高度な政治性を持った能信の忍耐と青白い情熱といったカンジのドラマは決して単純なものではありませんが、それゆえに飽きることなく読めます。

私たちが「藤原氏の全盛~院政期」と教わった「~」の部分の話です。
誰の思い通りにもならなかった歴史に思いを馳せることが出来ます。
ヘンなタイトル(苦笑)だけど、是非お読み下さいませ。