『源氏物語、<あこがれ>の輝き』②

イメージ 1

六条の御息所は源氏と会う前から深い挫折を味わっていたのでした。
彼女がプライドを保っていられたのは、華やかな文芸サロンの女王として君臨していたからです。

これは、他の本に書いてあったんですが、当時というか…いつの時代もどんなに多くの荘園を持っていてもその家の男主人が亡くなってしまうと、途端に収入が激減してしまいます。

藤原定子も兄弟が流罪になってから、役人がナメて中宮としての収入が入って来なくなったとありますから、六条の御息所の生活ぶりを見ると彼女は自分の財産と前東宮の遺産を運営出来る優れた女性経営者でもあったというわけです。

そうして華やかに暮らしていた彼女の前に光源氏が現れたのでした。
後になって彼女は年下の源氏になかなかなびかなかったことが語られますが、
醜聞に身を曝すのに不安があったのでしょう。
しかし、それが現実のものとなります。

彼女は嫉妬に身もだえしたのかと言うと、答えはノーです。
彼女の性格の特異さは「深く思いつめる」ことにあったと思います。
御息所は、軽々しかったこの身を悔やみ、世間に嘲られているこの状況を嘆いたことでしょう。


この御息所を通して『源氏物語』は一転、中世文学の重みを帯びるのです。
むすめに従って宮中を訪れる彼女が若き青春の日を思い出すところは本当に哀しいです。

中宮になることを期待された身の上―彼女は藤壺のもうひとつの姿なのです。

それゆえに源氏は託された遺児・前斎宮を朱雀上皇ではなく現天皇に差し出し、中宮にする道を選んだのです。
御息所の魂は完全に鎮められたようでした。

ですが、帝が退位すると途端にその魂が顕現します。
むすめの秋好中宮への言伝は胸に迫るもので、中宮のことも気の毒になってしまいます。


さて、朝顔やこの六条の御息所は、前者は斎院となる為に後者は斎宮となる女に付き従って一端物語の舞台から降りてしまいます。

そこでとり殺された葵に代わって正妻格となるのが、紫の上です。


昨日、ウッカリ20時に寝てしまい、スッカリサボり気味ですみません。
六条の御息所はバラのイメージです。