源氏物語

『紫マンダラ―源氏物語の構図』

しつこく、故河合隼雄氏の本です。 図書館の本を「源氏物語」で検索するとウチの図書館の場合、750冊くらい出てくるんですが、これはタイトルからは借りない本ですね~。 しかし、この一連の河合隼雄ブーム(笑)の中で、この本の切り口を知ってから借りたんで…

『明解 源氏物語五十四帖 あらすじとその舞台』

今日、紹介するのは『明解 源氏物語五十四帖 あらすじとその舞台』です。 本書は「源氏物語」の五十四帖のあらすじとその舞台となった地域の説明で構成されています。 「源氏物語」の舞台の殆どは京都で、その話の中心は御所ではあるわけですが、京都の町並…

『源氏物語の基底と創造』③

薫に真相を語る弁の君 障子?の絵が柏木の「桜の恋」を暗示している ―源氏物語手鑑― 大君の赦しをひたすら請うて薫は至上の愛を求めます。 しかし、究極の結びつきを願えば願う程に大君は身体を強ばらせるのでした。 それは薫のことを嫌っていたのではなく、…

『源氏物語の基底と創造』②

薫は愛する大君に対して非常に臆病でした。 一室で一夜を共にしたということは、ホテルから出て来て「休憩したいと言われて中に入っただけ」 とか言っているのと同じくらい、どう言おうとも既成事実なわけです。 事実、薫は大君の夫のようにさえ振る舞います…

『源氏物語の基底と創造』①

結構、『源氏物語』に対する論文を読むようになって、かなり面白かったのが伊藤博著作の 『源氏物語の基底と創造』でした。 難しいことを更に難しく書いているものが多い学術書の中で、まあまあ読み易い方です。 (すごく読み易いとは言わない) 中でも秀逸な…

『源氏物語、<あこがれ>の輝き』④

この本の中で「宇治十帖」はまず『日本書紀』からの宇治という土地の説明から入ります。 仁徳天皇の即位に至る傷ましい逸話です。 その神聖な宇治に住む、悲運の親王を父に持つ大君と中君…。 東宮であった兄宮の対抗馬に立てられたゆえに不遇に陥った彼女た…

『源氏物語、<あこがれ>の輝き』③

この本で特に優れているのが、紫の上への考察です。 北山は現在の金閣寺が建っているところで、鎌倉時代から室町時代始めには『源氏物語』に擬えた テーマパークが造られました。 北山で発見された彼女はまだあどけないばかりの少女で、聡明ではあったものの…

『源氏物語、<あこがれ>の輝き』②

六条の御息所は源氏と会う前から深い挫折を味わっていたのでした。 彼女がプライドを保っていられたのは、華やかな文芸サロンの女王として君臨していたからです。 これは、他の本に書いてあったんですが、当時というか…いつの時代もどんなに多くの荘園を持っ…

『源氏物語、<あこがれ>の輝き』①

本日紹介するのは、ノーマ・フィールドの『源氏物語、<あこがれ>の輝き』です。 本書は『天皇の逝く国で』の著者であるノーマ・フィールドが20年も前に纏めたものを「源氏物語千年紀」に当たって翻訳されたもの(2008年)です。 『源氏物語』は主人公の光源…

『すぐわかる 源氏物語の絵画』

源氏絵と呼ばれる屏風や画帖や扇絵が中世から近世にかけて大量に作られました。 中世の始めには源氏絵の虎の巻のようなものがあって、各巻のどの場面を描くのかが決められていたようですが、全巻を網羅する画帖などの大事業ではそれぞれ新しい試みがなされて…

『散華―紫式部の生涯』

すこしご無沙汰しておりました。すみません。 今日、紹介するのは杉本苑子著『散華―紫式部の生涯』です。 物語は少女の紫式部が先祖の墓参りするところから始まります。 シンデレラガールとなったその人への思いから、紫式部の果てしない思考はスタートしま…

『源氏物語ものがたり』

今日、紹介するのは島内景二著の『源氏物語ものがたり』です。 本書は『源氏物語』を現代まで橋渡しした8人の文学者と、紫式部自身と美しい翻訳をした アーサー・ウェイリーの10人の源氏物語への挑戦を紹介しています。 藤原定家は「御子左家」の出身で鎌倉…

『源氏物語の時代~一条天皇と后たちのものがたり』

しばらく海外の話に飛んでいましたが、今回から『源氏物語』に移ります。 今日、紹介するのは朝日選書の山本淳子著『源氏物語の時代~一条天皇と后たちのものがたり』です。 一条天皇は980年に円融天皇とのちの東三条院・藤原詮子との間に生まれました。 当…

『記憶の中の源氏物語』おまけ

いくら500ページの本とはいえ、書きまくってしまいましたが、いかがだったでしょう? 特に「青海波舞」は語り尽くした感がありますが、本文はもっと凝ってます。 大体、本の紹介のときは書いてない状況なども書くので、本文読んだら「あの話なかった」などと…

『記憶の中の源氏物語』④

応永15年(1408)、その北山に後小松天皇を迎えての足利三代将軍義満のイベントになります。 義満は西園寺家から北山を買い上げ(いい荘園と交換した)、そこに金閣を始めとする仏教テーマパークを造っていました。 ここに後小松天皇を迎えて行った「青海波舞」…

『記憶の中の源氏物語』③

元徳3年(1331)は後醍醐天皇による北山での「舞御覧の催し」です。 なぜ、北山かというと少し戻りまして、弘安8年(1285)北山准后九十賀がここで行われたのでした。 北山准后こと四条貞子は、御嵯峨院の皇后で後深草・亀山両院の生母である西園寺姞子の生母…

『記憶の中の源氏物語』②

白河院五十賀のちょうど50年後、白河院の孫・鳥羽院五十賀が行われました。 近衛天皇が主催となっていますが、まだ年少な上に病弱であった天皇に代わり鳥羽院自身が費用を受け持ったようです。 50年前の白河院五十賀の折、関白・忠実はまだ若く父親の喪中で…

『記憶の中の源氏物語』①

本日紹介するのは、「源氏物語」研究者である三田村雅子氏の著作『記憶の中の源氏物語』です。 この本の内容は「源氏物語」に対する解説本ではなくて、『源氏物語』が権力者によっていかに解釈され、 「源氏物語」を生きることが彼らにとってどういう意味だ…

突然ですが『空蝉』って…

この前の市川雷蔵について書いていて、彼の出生についてはどれだけ迫ればいいのかなあ…と疑問を持ちました。 手元に時代劇の本が置いてなくて、殆ど歴史読本を参照にしたんですが、そこで気になるインタビューが 載っていて、これは当時は普通に語っていいこ…

源氏物語手鑑

今日は和泉市久保惣記念美術館に『源氏物語―土佐光吉と浮世絵による源氏絵―』展(期間常設)を 見に行ってきました。 前々から行きたかったのに、この時期サッカーがないので行けずにいたんですが、 今回大阪にたまたま用事があったのを幸いに寄ることが出来…

『夕顔の謎を解く』

今日、ご紹介する藤島由子著『夕顔の謎を解く』は 『源氏物語』の薄幸のヒロインである夕顔について多角的に検証したものです。 ざっと夕顔について語りますと、 ある日、乳母のお見舞に長屋町を訪ねた光源氏はそこで、美しい女君に出会います。 その頃、年…

映像化される『源氏物語』

昨日の『あさきゆめみし』のアニメがなくなった話を聞いて、姉からメールが入りました。 ------- 「監督の独自の解釈で」って、夕顔が何もしないで六条が鬼婆で、葵が我が儘で、明石がムチムチで、藤壷を脱がせる以外に何をしてくれるというのだろう? -----…

タイトルのお話

ブログを立ち上げるにあたって、悩んだのはタイトルです。 何を書こうか決められなくて、でも、まあ頼まれもしないのに行きたおしている美術館関係がいいな と大体決めて、どうせなら源氏物語にまつわるタイトルがいいな、と思っても そらで和歌がすらすら出…

オススメの本です

まあ、オススメと言うか何と言うか…。 今年は源氏物語千年紀ということで、本屋には関連の本がわりと並んでいます。 その中で一番に目を引くのは、何と言っても角田文衞著の『紫式部伝』でしょう!! 8800円という値段も頷けるこの重厚感!! しかし内容はと言う…

六条の御息所といえば…

昨日、一昨日と旅行の為にサボッてしまったので、もうひとつ。 六条の御息所といえば、結構人気のあるキャラクターです。 私も思いつめるタイプの貴婦人が、胸のわだかまりも口に出来ずに生霊(その後は死霊にも) なってしまう姿は哀れで美しく思ったものです…

『源氏物語の1000年展』の続きです。

そういえば、今回上村松園の『焔』の下書きがありました。 私はこの完成品を20年程前にBunkamuraであった『源氏物語と紫式部展』で見たのですが、 その美しさと大きさに圧倒されました。 なにせ、一緒に公開していた近世の最高傑作である 『源氏物語手鑑』に…

今日は横浜美術館

『源氏物語の1000年―あこがれの王朝ロマン―』です。 実にたくさんの名品が並んでます。私は始めの方と先週と2回行ったんですが、 それでも全部見ることが出来なかったくらい、展示がコロコロ替わります。 まあ、それもどこも「源氏千年」なのだから仕方がな…

源氏続きですが…

いきなり寒くなってきましたね。 今日、紹介するのは『源氏物語 千年のかがやき』展です。 東京都立川市に国文学資料館が移転した記念だそうで、初公開の『源氏物語団扇画帖』と、 岩佐勝友画の『源氏物語図屏風』がメインで展示されています。 大きな展示が…

初めまして

さて、何気に過ごしている日常で読んだ本や、展覧会の紹介をしていきたいと、 ブログを始めました。 今日は『ヨーギ者Xの献身』(映画評論のブログではないので…)を観て来ました。 2回目なんで、フクヤマの心の動きとかに重点を置いて観たので、結構新しい…